2011年10月12日水曜日

*鍋の季節がやってきた



啓成寮三大鍋地の一つ「たろう」では、平日の深夜にも関わらず、スタミ鍋を囲む寮生がいた


食通で知られる花澤魯山人は語る

「冬、啓成寮で最も歓迎される料理は、なべ料理であろう。煮たて、焼きたてが食べられるからである。なべ料理では、決して煮ざましを食べるということはない。クツクツと出来たての料理を食べることが、なによりの楽しみである。だから、なべ料理ほど新鮮さの感じられる料理はない。最初から最後まで、献立から煮て食べるところまで、ことごとく自分で工夫し、加減をしてやるのであるから、なにもかもが生きているというわけである。材料は生きている。料理する者は緊張している。そして、出来たてのものを食べるというのだから、そこにはすきがないのである。それだけになんということなく嬉しい。そして親しみのもてる料理といえよう。啓成寮でやるなべ料理は、原料はこれとこれだけと、決っているわけではない。平尾にもらった大根だとか、中尾のカピカピ大根だとか、大根だとか、中庭大根だとか、あるいは蕪を使おうと、なんでも独創的に考案して、勝手にどんなふうにでもやれるのである。さて、『やみなべ』の話であるが、1、2年生はでは単に『やみなべ』を話の種に挙げても、ついにやらぬが、風流な上級生は『たのしいやみなべ』といって、よくやる。なぜ『たのしいやみなべ』というかといえば、ふくらぎの頭があったり、たこ焼きがあったり、ハンバーガーがあったり、いろいろな材料がちらちら目について、大皿に盛られたありさまが、はなやかで、あれを食べよう、これを食べようと思いめぐらして楽しみだからである。なるほど「楽しいやみなべ」という名称は、実によくあてはまっている。しかし、『なべ』というのは、なんだか誰かのあだ名のようでよい名前ではないと思う。」

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