2011年9月4日日曜日

寮生が一番好きな小説はトルストイ『アンナ・カレーニナ』

啓成寮国語文化研究所は、寮中での読書調査をもとに、最も好きな純文学小説を調査したところ、トルストイ『アンナ・カレーニナ』が最も好まれていると発表した。『アンナ・カレーニナ』はトルストイの代表作で、文学の最高傑作の一つである。
そして、その内容は三角関係です、終わり。内容は各自、勝手に読んでください。 
また、発表された順位の中には『大聖堂』や『大地の子』といった近年ドラマ化され話題になった作品も多く、ドラマを見て原作を手にとってみたという読者も多いということが明らかになった。

以下は発表されたすべての順位

1. レフ・トルストイ『アンナ・カレーニナ』(33票)

2. 夏目漱石『こゝろ』(30票)

3. ケン・フォレット『大聖堂』(21票)

3. 遠藤周作『沈黙』(21票)

5. 村上春樹『羊をめぐる冒険』(20票)

5. ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(20票)

7. 川端康成『古都』(18票)

8. マーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』(17票)

9. 宮沢賢治『オツベルと象』(13票)

10. 司馬遼太郎『坂の上の雲』(11票)

10. よしもとばなな『キッチン』(11票)

12. マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(10票)

13. 江戸川乱歩『蟲』(5票)
14. ヘルマン・ヘッセ『車輪の下』(4票)
14. 星新一『ボッコちゃん』(4票)
14. ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』(4票)
17. 太宰治『人間失格』(3票)
17. アーネスト・ヘミングウェイ『老人と海』(3票)
19. 志賀直哉『暗夜行路』(2票)
20. 
江國香織『きらきらひかる』(1票)
20. トルストイ『戦争と平和』(1票)
20. 山崎豊子『大地の子』(1票)
20.  
ウィリアム・シェイクスピア『キング・リア』(1票)
20.  ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』(1票)
20.  
谷崎潤一郎『細雪』(1票)
20.  村上龍『限りなく透明に近いブルー』(1票)
20. デーヴィッド・ハーバート・ローレンス『息子と恋人』(1票)

啓成寮国語文化研究所所長の鼻澤龍之介氏は語る。

問)トルストイはどうですか?
鼻澤龍之介氏)
私が露西亜文学を熟読玩味するようになったのは、何年前からか確と覚えてもいないが、けっして古くはない。見方によればごく近頃であると云ってもよろしい。しかるに文学の潮流は非常に急なもので、トルストイを読み、小説家として、世にあらわれ、また一般から作家として認められたものが大分ある。今も続々出つつあるように思われる。私も多忙な身だから、あまねくすべて人の作を一々通読する暇がない。たてこんで来ると、つい読み損って、それぎりにする事もあるが、できるだけは参考のため、研究のため、あるいは興味のため、目を通して見る。ところが年一年と日を経るに従って、みんな面白い。だんだん老熟の目が短篇のうちに行き渡って来たように思われる。

問)啓成寮の文学趣向についてどのようにお考えですか?
鼻澤龍之介氏)
妙な比較をするようだけれどもの、これらの創作物を読む寮生の価値は、カンブイニヱンスストアの通俗雑誌を読み耽る若衆のものよりも、ずっと程度の高いものと自分は信じている。だから寮生の文化芸術は前途多望、大いに楽観すべき現象に充ちていると思う。

問)よりよい読書とは何ですか?
鼻澤龍之介氏)
いわゆる福井大学に通う人の特色は何だと纏まとめて云って御覧なさい。私にはこう見える。いわゆる福井大学に通う人は誰を捉つかまえてもたいてい同じである。教育の程度、知識の範囲、その他いろいろの資格において、ほぼ似通っている。だから誰かれの差別はない。皆同じである。が同時に一方から見ると福井大学に通う人ほど個人主義なものはない。どこまでも我は我で通している。人の威圧やら束縛をけっして肯うけがわない。信仰の点においても、趣味の点においても、あらゆる意見においても、かつて雷同附和の必要を認めない。また阿諛迎合の必要を認めない。してみるといわゆる福井大学に生息している人間ほど平等的なるものはなく、また個人的なるものはない。すでに平等的である以上は圏を画して圏内圏外の別を説く必要はない。啓成寮の自治会のごときは単に採決に便宜なる約束的の団隊と見傚みなして差支さしつかえない。またすでに個人的である以上はどこまでも自己の特色を自己の特色として読書する必要がある。


編集後記)
花澤龍之介氏は美少年ではなかったが、ひとたび彼の魅力にとらえられてしまうと、そんなことに気のつくものは、ほとんどないくらいだった。

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